再発患者におけるイリノテカンの効果(SIOPEL-PhaseⅡtrial)

イリノテカンの効果

イリノテカンの効果についての論文が掲載されていた。

結論として、再発患者には、それなりに効果がありそうだが、化学療法抵抗性の患者には微妙な結果だった。あっちゃんがっくし。

英文タイトルは、
Efficacy of irinotecan single drug treatment in children with refractory or recurrent hepatoblastoma
– A phase II trial of the childhood liver tumour strategy group (SIOPEL).

Purpose(目的)– イリノテカン単剤での、再発、及び化学療法抵抗性の肝芽腫患者に対する治療効果の判定

Patients and method(対象患者と判定方法)
イリノテカンは 静脈注射の方法で投与された。一回の投与量は、20mg/㎡/dayで、Day1-5、8-12の期間に投与され、これが21日おきにトータルで4サイクル繰り返された(腫瘍の進行や、肝切除が予定より早くなった場合を除く)。

抗腫瘍効果の測定は、SIOPELとResponse Evaluation Criteria In Solid Tumours (RECIST)の基準により行った。

メインの両端(日本語でいうところの最大の長径和のこと?)が反応率(RR/response rate)、早期の進行率(EPR/early progression rate)、無進行率(PFS/progression free rate)の測定にもっとも好ましい。

Result(結果)
24名の条件を満たした患者(年齢の中央値 58か月、19名が男児)がこの治験に登録された。(うち、11名が再発患者、13名が化学療法抵抗性の患者)
23名の評価可能な患者のうち、

  • PR(部分的に有効)-6名
  • SD(不変)-11名
  • PD(悪化)-6名。このうち、4名は早期に悪化した。
  • 全体のRR: 26%, EPR: 17%(この当たりの細かい定義は専門家でないので、飛ばします。).

8名の患者において、化学療法後の腫瘍は完全切除が可能となり、実際に7名が腫瘍フリーとなった(1名の結果はAbstractには未記載)
最新のコンタクトでは、12名の患者が生存しており(6名が無病生存、6名が疾病のイベントを伴いつつも生存)1年のPFSは24%であった。
再発肝芽腫患者は、化学療法抵抗性の肝芽腫患者と比較して、イリノテカンの効きがよかった。(RRは、前者が46%に対し、後者が8%)
また、肺のみの病変(肺転移?)の患者は、他の場所の病変(ここでは肝臓か)の患者より反応が良かった(RRは50%vs13%)
副作用としては、Grade3-4の下痢と好中球減少が半数の患者において見られた。

Conclusion(結論)
イリノテカンは、再発患者において、十分な抗腫瘍効果を持ち、その副作用は許容されうる範囲内であった。その為、イリノテカンは再発患者の治療法と考えられるべきであろう。肝芽腫患者のinitial treatment(初回治療とやくすか、初回の議論とやくすか?おそらくPhaseⅠの議論ということか?)におけるイリノテカンの役割の研究は、正当化されたといえよう(一応効果はあったといいたそうだが、やや弱腰な印象)。

RR(Response rate)-CR+PR(効果があった割合)

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これの読んだ結果として3つくらいの解釈ができると思った。

  • 一つは読んで文字通り、化学療法抵抗性の患者には、何を使おうがあまり効かない。
  • 二つ目は、再発患者の多くは肺転移(再発の7割弱が肺転移か?)のはずであり、肺には効きやすいが肝臓には効きにくい。
  • 三つ目は、腫瘍細胞が小さい場合は効果がある(肺は一㎝以下で発見されることが多い)が、一定以上になってくると腫瘍の勢いを抑えられない。