農業への恩恵は大きいが、小児には悪影響の懸念される残留農薬、殺虫剤
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農薬とは、農作物を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤をさす。少ない労力で、病害虫や雑草から農作物を守り安定した収穫を得る為に、一定の効果が得られる点で農薬の使用が行われています。
農薬等による害虫駆除ができなかった時代、たびたび飢饉に見舞われました。農薬を使用しない場合の収穫減少率は、水稲28%、小麦36%、大豆30%、りんご97%、トウモロコシ32%、きゃべつ63%等、個体差はあるものの、大きなインパクトがあります。収穫量が3割減れば、価格高騰も予想される為、農薬の恩恵は大きいと言えます。
現在の無農薬作物が通常の農作物と比較して、それほど高くないのは、農薬を使った作物が安定供給されているからで、もし全農作物が無農薬栽培になれば、農作物は高級食材となるかもしれません。
農薬の分類は多岐にわたるが、農薬工業会でまとめられている。大きくは、①殺虫剤、殺ダニ剤 ②殺菌剤 ③除草剤。殺虫剤では、化学農薬と生物農薬に分かれるが、
化学農薬の効果ごとに分類すると
神経伝達系の阻害(有機リン系、カーバメート系、合成ピレスロイド系、ネオニコチノイド系)、呼吸阻害(エネルギー代謝阻害)、昆虫ホルモンの制御、代謝系阻害等に分かれる。
農薬による死亡事故等は一貫して減り続けてきましたが、新たに、神経伝達系を阻害する農薬(有機リン系、カーバメート系、合成ピレスロイド系、ネオニコチノイド系)が、小児を中心に精神障害、神経発達障害、内分泌かく乱作用等が懸念されている。
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出生前及び小児期の農薬曝露は、小児がん、認識機能の低下、及び行動障害に関連する。農薬中毒の全ての報告の約45%が子どもの中毒に関するものであった。有機リン系とカルバメート系中毒は恐らく最も広く起きている急性中毒現象である。急性中毒のリスクは明白であるが、急性及び慢性曝露の両方による慢性健康影響が分かり始めており、生命の初期における農薬への曝露と、小児がん、認識機能の低下、及び行動障害との関連を明確に示している。