肝再生の驚くべきスピードと仕組み
肝臓は再生する臓器
肝臓は、人の中で唯一再生できる臓器であるといわれている。
健康な肝臓なら、8割切除しても、再生が可能であるという。あっちゃんの肝受容体シンチグラフィのによる残肝能力の測定の時の話は、『肝シンチグラフィー検査 術前最後の検査』を参考にしてください。
(肝芽腫の会の先生の話では、小児なら、肺も再生能力があり、肺の一部分の切除を複数回行っても、日常生活を行う上で、能力的には問題ない程度の回復は見込める。大人には肺の再生力はない。)
肝臓は、約1年で元の大きさに戻るといわれているが、これはいったい何を意味するのだろうか?
直感的に、細胞分裂が進めば肝臓の寿命が縮まってしまうのでは?と思ってしまう。
肝再生の実験をマウスで行う
東大の分子細胞生物学研究所によるマウスの実験で、肝臓の再生メカニズムについて、興味深い発表がある。
それによると、7割ほど肝臓を切除した後に、再生する際、失われた機能を補う為に再生能力を活性化させるが、それは、肝臓の細胞分裂と個々の細胞の肥大化によって補われるという。
肝臓の細胞分裂に関しては、『肝臓の再生の種類は2種類ある』が参考になります。
従来の肝臓の再生能力に関する考え方は、肝細胞の数が1/3に減ってしまった時は、もとに戻るまで細胞分裂するものとイメージされていた。これだと、3割の細胞が平均1.6回(一回すべての細胞が分裂し、次に、そのうち6割の細胞がもう一回細胞分裂する、、、)分裂すればいいことになる。
プレス発表の内容によると、まず5割程度大きさが増え(機能的に5割増し?)、その後に、個々の肝細胞が0.7回分裂(残った細胞の7割が一回細胞分裂する)することで、元の機能を補うという(これだと計算が合わないなあ、、、、、5割容積増しだと、その後、細胞分裂が平均1.1-1.2回必要になるはず。)。
肝再生のメカニズム(英語のオリジナル)
記事の日本語がわかりにくかったので、原文を見てみたところ、
- 1、全体の70%が切除され、元の30%の大きさになった肝臓は、まず、肝臓の肥大化(肝細胞が大きくなる)によって、元の大きさの倍程度(30%→60%)まで戻る。この間、細胞分裂は見られない(といっても、一日で倍の大きさになる)。
2、肝臓が、元の大きさの60%程度まで戻った後は、細胞分裂が始まり、1週間で細胞数が当初の1.5-1.6倍程度にまで増える。この間に、倍の大きさまで肥大化した肝細胞は、当初の1.5倍程度の大きさまで縮小する。(これを掛け算すると、大体2.4倍程度で、30%の肝細胞が70%程度まで再生したことになる。)
3、その後も、肝細胞の数は徐々に増加していく。一か月後くらいまでは、全体の大きさは変わらず、元の大きさの7割強の大きさのままである。その後の推移は、記載されていない。
4、肝細胞は、元々、細胞内に核を複数もつ細胞が全体の2-3割存在し、これらの細胞が分裂により単核の肝細胞になり、複数核の細胞のウェイトが減少する。
これを読んだときに、今まであやふやだった点のいくつかがクリアになった。
三重大学のケースに当てはめる
三重大学によると、7割切除された人の肝臓は、一週間で倍近くの大きさ(元の大きさの61%)まで戻る。
その後半年後かけて、元の大きさの16%分が再生され、さらに半年かけて、元の大きさの26%分が再生され、トータルでは、元の大きさの103%(若干超過)まで再生している。
詳細は、『成人の肝再生にかかる期間』を参考にしてください。
(出所:三重大学病院サイト)
上のマウスのケースを当てはめると、最初の一週間くらいは、細胞分裂ではなく、肝細胞の肥大化で倍近くまで大きくなっていると思われる。その後、肝細胞分裂が始まり、徐々に肥大化した肝細胞は、縮小し始めると思われる。
最初の一週間を除けば、前半の半年と後半の半年で、後半の半年のほうが再生スピードが速いのは、前半は、肥大化した肝細胞が縮小していく影響が、肝細胞の増加の効果をある程度打ち消していることが考えられる。
後半に入ると、肥大化が元に戻っていく影響が軽微になっていくのと同時に、分裂する肝細胞の母数が増えている為、再び再生ペースが速まっていると考えられる。
で、一年たった時点で、元の大きさより若干大きくなっているのは、肥大化した肝細胞がまだもとのサイズには完全に戻っていないからではないか、と思われる。
逆に、肝移植のドナー(提供者)が30%程度切除した後に、いったん元の大きさの1.3倍程度まで拡大し、その後徐々に元の大きさに戻っていくのも説明がつく。
切除されると、その再生能力の中でも、まず肝細胞の肥大化で、70%くらいになった肝臓が130%程度の大きさにまで拡大し、その後、肝細胞の分裂を伴いながら、肥大化した肝細胞が元の大きさに戻ると思われる。
肝臓の細胞分裂周期は、2か月だそうです。肝再生に使われる細胞分裂が、全細胞が1回程度分裂すればいいという前提に立てば、肝再生により肝臓の寿命の縮まる期間は、細胞分裂1回分。見た目の派手さと比較すると、寿命への影響はそれほどなさそうだ。
あっちゃんが、切除手術を受けた先生の話では、肝臓の理論的な寿命は、人間の寿命よりはるかに長く、肝臓移植で年上の人の肝臓を移植しても、肝臓の寿命がその個人の寿命より先に尽きることは、まずないだろうとのこと。
で、結局AFPはいくらなら、安心かという点では、肝芽細胞の活動レベルが普通の人並に落ち、AFPも健常人のレベルにならないとだめな気がする。
AFPが2-3でなく、9とか10というのは、やはり肝芽細胞の数が通常の肝臓より多い、あるいは活発な状態で、肝臓を一生懸命修復していることを意味し、その活動自身が再発の引き金になる可能性を否定できない気がする。
なので、肝再生がちゃんと完了したのちは、たとえ5年以上経過していても、AFPは2-3、あるいは少なくとも6以下にならないと完治とは言えない気がします。

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