肝芽腫の欧州における再発率(1999-2004)
肝芽腫の再発について、欧州で取りまとめた論文が出ていたので、まとめてみました。
日本の数値とは違う印象で、次に、思ったよりハイリスクの患者と標準リスクの患者で、一度寛解するとその後の再発の可能性はそれほど変わらない(それでもかなり差はありますが、生存率のそれと比較すると、ハイリスク患者の再発率はかなり低いという印象)
題名は、
「Relapse in hepatoblastoma patients:Clinical characteristics and outcome – Experience of th International Childhood Liver Tumour Strategy Group(SIOPEL)」
かいつまむと、以下の通りですが、最後の表だけ見れば、十分だと思います。
患者の概要
・患者は、1990/1-2004/12までにSIOPEL(1,2,3)に肝芽腫として登録された695名のうち、寛解(一か月以腫瘍がきえ、AFPが正常レベルを維持)したのちに、再発が確認された患者59名を対象。
・SIOPEL登録患者695名のうち、寛解に至った患者数は524名、このうち再発患者は59名であり、寛解後の再発率は11%であった。
再発率を、初診時に転移なし患者と転移あり患者に分けると、転移なし患者は7%(570名中42名)、初診時転移あり患者は13.6%(125名中17名再発)
※ただし、転移あり・なしの再発率の分母は、それぞれ寛解に至った人数ではなく、全登録者数であるため、寛解に至った人数を分母にすると、転移あり患者の再発率は、さらにかなり高くなることが予想される。
患者の概要再発パターン
・肝芽腫の診断時から再発までの平均的な期間(ここでは中央値・Median)は、12か月(4-115か月)。
・再発部位は、肝臓21名(36%)、転移32名(55%)、両方とも5%(9%)、不明1名。転移患者の部位は、肺27名、腹膜4名、中枢神経系1名であった。
・初診から再発までの期間に関しては、肝臓での再発の場合、中央値は10か月対し、転移の場合、中央値は20か月と期間が長かった。初診から3年以上たった場合の再発に関しては、6名中5名が肝臓での再発であり、比較的年齢の高い小児での再発となっている(中央値は5.5歳)
・手術結果による再発の差は、①完全切除ができた場合8.6%(41名/473名)、②目視、あるいは顕微鏡的に切断面に腫瘍が残った場合8.1%(6名/74名)、③肝臓移植の場合20%(11/53)。
※ただし、完全切除のうち、1センチ以上のマージンがあった場合は、再発率は4%程度にまで下がる。
・転移患者に関して、37名の転移患者のうち、14名が単一の転移病巣で、19名が複数個所の転移病巣であった(4名がデータなし)
・再発患者のうち、31名(52%)が二度目の寛解となる。このうち、20名が化学療法と切除手術の併用、6名が化学療法のみ、3名が切除手術のみ、2名が化学療法と放射線治療。31名のうち、18名が寛解をフォローアップ時点で維持、13名が再再発(再再発までの中央値10か月)。13名の再再発患者のうち、5名が三回目の寛解にいたる。
・再発患者を再発部位別に見た場合、肝臓再発では、21名のうち11名が長期的に寛解を維持し、肺転移患者では、32名のうち、12名が長期的に寛解を維持していた。
・改めて、表にしてみると、Pretextが上がるごとに、再発率も上がっている。これは、日本のそれとは異なる。転移再発の確率がPretextとともに、著しく上昇している。これは、イメージ的に合点がいく。
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再発後の経過等についても、記載があったが、それはまた別の機会に。