肝芽腫の再発率は、どのくらいか?(1999年まで結果より)
肝芽腫の全分母に対する再発率は10.5%
以前、再発の可能性(12/3/14)というところでまとめたが、今回、気になる点があったので、新たに見直した。
日本の肝芽腫の再発に関する論文に、Analysis of treatment outcome for children with recurrent or metastatic hepatoblastoma.という、JPLT-1の結果についてまとめられたものがある。
1991-1999年に登録された日本の肝芽腫の症例をまとめた論文で、134名の肝芽腫患者のうち、
転移患者を除いた114名の患者のうち、90名が手術により原発巣の腫瘍が、完全切除され、
完全切除された患者90名のうち、12名が再発したというものである。
仮に、Pretext1-3の患者を分母にすると、再発率は10.5%、完全切除された患者を分母にすると、13.3%の患者が再発している。
これは、SIOPELのそれと比較して高い。SIOPELの標準リスク患者の再発率は6%、寛解患者の再発率は、11%(ハイリスク患者を含む)とかなり異なる。
日欧での再発率の場所別の差
肝臓への再発率は、日本、欧州ともに大きな差はないが、肺を中心とした転移再発率が、日本が高い(SIOPELは、標準リスク全患者を分母に2.6%だが、日本では7%台)。
転移再発率の差がそのまま、再発率の差となっている。特に、Stage2の転移再発率の高さが目立つ。
これは、Stage1,2に関しては、化学療法が減量されていることが要因の一つにあるのかもしれない(が、テラルビシン、シスプラチンの晩期障害のリスクを考慮すると、一長一短であるといえる)。
日、欧で比較すると、日本では、化学療法の容量を抑えながら、高い切除率を誇ることに対し、欧州では、積極的にそれ相応の抗がん剤を治療し、再発率も含めて、日本以上に抑え込めているといえる。
さらに、完全切除できた患者を分母に見てみると、Stage1から3Bにおいて、再発率の差がほとんど見られない。むしろ、術後化学療法が減量されているStage2が最も再発率が高くなっている。
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