欧州ハイリスク肝芽腫患者の臨床結果(SIOPEL-3HR) 原文和訳付
欧州における肝芽腫ハイリスク患者の治験結果
SIOPEL-3HRと呼ばれる”ハイリスク”肝芽腫患者のプロトコルの臨床結果の論文を読んでみた。最後に訳もつけた。
これは、従来の治療法では、生存率が上がりにくかったPretext-4、転移患者等の対する新しい治療法を提案、従来と比較して、高い生存率を達成したもの。
ハイリスクの定義
- 以下のリスク特性を持つ事。
- Pretext-4患者
- 血管侵潤患者(P+、V+)
- 腹部肝外進展患者(E+)
- 遠隔転移有り患者(M+)
- APF値が100 ng/ml以下
肝芽腫患者の治験の結論
- 全患者の(3年、以下同様)無病生存率は65%、生存率は69%。
- Pretext-4患者の無病生存率は、68%、生存率は69%。
- 転移有り患者の無病生存率は、56%、生存率は62%。
肝芽腫ハイリスク患者のプロファイル
全体の約半分が、Pretext-4、男子が女子の約1.5倍、転移有り患者が全体の半分弱を占めている
※言葉のラフな定義として、
CR(Complete Response)-腫瘍の消滅、完全寛解
PR(Partial Response)-腫瘍の縮小
SD(Stable Disease)-CRでもPRでもPDでもない状態。変わらず
PD(Progresive Disease)-病状の進行
※正確な定義の説明は省略します。
ハイリスク患者の腫瘍縮小効果
約79%の患者が、PRとなった。ハイリスク患者が分母であることを考えるまずまずの結果か?
肝芽腫患者の化学療法後の腫瘍切除の割合
全患者のうち、腫瘍切除ができたのは、115名(76.2%)で、Pretext-4の患者が半数を占めると考えると、高い切除率である。このうち、肝移植が31名、肝切除のうち、切断面が陽性の患者が11名いた。肺・肝臓ともに完全切除できた例は、106名(70.2%)であった。
肝芽腫Pretext-4患者の治療効果
肝腫瘍の完全切除は57名(77%)において達成された。うち、肝移植が26名であった。
肝芽腫肺転移有り患者の化学療法の効果
約半数において、化学療法のみでCRを達成した。PRは13名であった。
肺がCRとなった患者のうち、肝切除ができた患者は標準リスク患者と同様の良好な予後であった。
肺がCRとなった患者のうち、肝移植の患者の予後は非常に悪い結果となった。
化学療法で、PR、あるいはSDとなった患者のうち、肺・肝臓とも完全切除できた患者は、良好な予後であった。
化学療法で、PR、あるいはSDとなった患者のうち、肝臓の完全切除できた患者は、ある程度高い再発リスクを想定する必要がある。
肝芽腫患者の治療中、治療後のイベント
イベントがあった患者に関して
全患者のうち、53名において、治療中、治療後になんらかのイベントがあった。
この53名の患者のうち、47名が残念ながら死亡となった。生存患者は6名(再発患者3名、PD患者3名)
肝芽腫患者の再発
肝移植患者のうち、再発は8例、顕微学的残存腫瘍有り患者のうち、再発は2例であった。
Pretext-4患者、転移有り患者の結果
肺転移患者の生存率は62%、肺、肝臓ともに進行しているPretext-4で肺転移有り患者の生存率は50%となっている。他の臨床結果と比較すると、非常に優れた結果といえるであろう。
あっちゃんぱぱによる和訳
削除依頼があった際は、訳を削除しますので、よろしくお願いします。
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