肝芽腫の欧州最新治療法
欧州SIOPELの治療の歴史
欧州の治療法は、基本的に、SIOPEL(International Childhood Liver Tumours Strategy Group)が現在決めており、治療法は、それぞれ、SIOPEL1から順番に番号が振られている。
この20年間、新しい治療法の進歩が著しい。
1990年 Pretextと呼ばれる症例の分類法による治験を開始、現在の治療に至る基礎を構築(SIOPEL 1)。
1994年 ハイリスクと標準リスク患者に分け、別々の治療法で治験を開始(SIOPLE 2)
1998年 標準リスク患者には、さらに大規模な治験を行い(SIOPEL 3-SR)、ハイリスク患者の治療法は更に、改良した(SIOPEL 3-HR)。
2005年 ハイリスク患者の治療法を更に改良し、治験を開始(SIOPEL 4)
2005年 小児肝細胞がん(HCC)の治験を開始するも、患者が集まらず、中止。
現在 シスプラチン投与による聴力障害の副作用を抑える為の”チオ硫酸ナトリウム”の投与が標準リスク患者に対して行われている(SIOPEL 6)。
肝芽腫の各治験の結果
標準リスク患者における治験(SIOPEL 3-SR)結果は、シスプラチンのみで標準リスク患者には、十分な治療効果があるというものでした。
『日欧で標準となっている肝芽腫の治療法の論文(JPLT-2とSIOPEL3)』で、SIOPEL3の結果論文を紹介しました。
肝芽腫ハイリスク患者における治験(SIOPEL 3-HR)では、ハイリスク患者の予後の改善が見られました。
『欧州ハイリスク肝芽腫患者の臨床結果(SIOPEL-3HR) 原文和訳付』を参考にしてください。
肝芽腫ハイリスク患者における治験(SIOPEL 4)では、前回の治験から、さらにシスプラチンの投与に工夫を凝らし、予後が改善した。
イリノテカンのセカンドラインとしての研究も続けられており、一定の効果が上がっているようである。
『再発患者におけるイリノテカンの効果(SIOPEL-PhaseⅡtrial)』で途中経過を開設しました。
3回に分けて、解説したので長くなるが、和訳もついているので、関心のある方は一読ください。
肝芽腫ハイリスク患者の欧州における 治験結果 (SIOPEL 4) 1
肝芽腫ハイリスク患者の最新治療法の結果が改善(SIOPEL 4) 2
肝芽腫ハイリスク患者最新治療法の国内治験開始 欧州論文和訳付 (SIOPEL 4) 3
これを受けて、2015年に入り、欧州の治療法を取り入れたJPLT 3と呼ばれるプロトコルが治験として始まったようだ。
『肝芽腫の治療法は欧州と合流か?(新療法の治験開始)』にて詳細を記述しました。
その他の欧州論文
再発に関する論文
1990/1-2004/12までにSIOPEL(1・2・3)に肝芽腫として登録された患者をもとに再発に関する分析結果をSIOPELが発表。
『肝芽腫の欧州における再発率(1999-2004)』にて詳細を解説しました。
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肝臓移植に関する論文
欧州では、古くから、Pretext4の患者に対しては、生体肝移植を積極的に導入していました。これに関する話は、『なぜ、欧州は日本より、肝切除でなく肝移植に積極的なのか?』にて紹介しています。