ANK他、免疫細胞療法の比較
免疫細胞療法について、過去のブログ15回分をまとめました。
小児での免疫細胞量の実績は、国内でほとんどなかった為、主治医を含め、周りの反対が非常に大きな壁でした。
免疫細胞の概要
免疫細胞は、生まれ持ったものと、経験とともに学習するものの、大きく二種類に分かれます。
- 自然免疫(非特異的免疫)-生まれた時から持っている、どのような微生物・外的に対しても一様に防御反応を示す防御効果
- 獲得免疫(特異的免疫) -予防接種や病気等により特定の微生物に対して効果的な防御反応を学習することで示す防御反応
そして、これらの免疫の性質を利用してがんを治そうとする治療法を、免疫細胞療法といい、下の図のような系統になっているようです。研究が進んでいるものは4種類くらいありそう。
ちなみに、あっちゃんがチャレンジしたANK免疫細胞療法は、自然免疫を活用した治療法です。一般的に、免疫細胞療法は、獲得免疫を活用したものが多いです。
詳細は、『10/27免疫細胞療法 その1 免疫機構の基本的な分類』、『2種類の免疫機能-自然免疫と獲得免疫』を参照下さい。
肝臓がんに関係する免疫細胞療法
肝臓がんに関する免疫細胞療法について調べてみたところ、以下のタイプの研究が進んでいるようだった。
- WT1ペプチドワクチンを用いた免疫療法
- GPC3(グリピカン3)ワクチンを用いた免疫療法
- GC33(抗グリピカン3抗体)を用いた免疫療法
- NK細胞を用いた免疫療法
WT1は、大阪大学で、研究が進んでいて、かなり有名だそうです。小児がんでも治験の実績がある数少ない免疫細胞療法です。
NK免疫細胞療法に関しては、広島大学で、生体肝移植時に活用事例が報告されています。
治験結果の詳細は、『10/28 免疫細胞療法 その2 WT1ワクチンとGPC3ワクチン』を参照下さい。
制御性T細胞に着目した免疫細胞療法
がん細胞に免疫細胞療法が効きにくいといわれる理由に、
- 腫瘍を狙って、攻撃するT細胞(CTL)から身を隠しす。
- 制御性T細胞と呼ばれる細胞の数を増やし、免疫の作用を抑える。
この制御性T細胞の数を抑えることで、免疫細胞を活性化させ、がんの再発率が有意に抑えられるという。
詳細は、『4/15 制御性T細胞に着目した免疫細胞療法』を参照ください。
ANK免疫細胞療法
NK細胞を活用した免疫細療法に、ANK免疫細胞療法というものがある(詳細は、リンパ球バンク社のWEBを参照)。
この療法は、小児に治療実績はなく、主治医からは、臨床実績のない療法は、あらゆるリスクを覚悟の上で、親御さんの判断で行ってくださいという助言のもと、一応内諾を得て行った。
保険適用外の療法であるため、今までかかっていた病院では施術できず、別のクリニックで実施を模索したが、ここからが長かった。
主治医は、基本的に反対の印象を受けた。正直、12月の手術で腫瘍の切除ができなかったタイミングで、強引に申し出なかったら無理だったかもしれない。
が、最終的には、4回も採血までしてくれた。いい病院だ。
詳細は『6/14 ANKによる免疫細胞療法に挑戦』、『6/17 皆に反対され続けたANK免疫細胞療法の経緯』』を参照下さい。
実際にANK免疫細胞療法の開始
NK細胞の静脈注射は、全6回に分けて、行われた。
小児の体の大きさを考慮して、1回あたり、成人の1/5の容量をゆっくりのスピードで投与した。
当初の副作用には、驚いた。震えや41度の発熱は、事前に聞かされていても、小児だと、かなり怖かった。
実際にANK免疫細胞療法の仮説
がん細胞を殺すのみ、どの程度の免疫細胞が必要か、仮説のもと、計算してみた。
前提1:今回、あっちゃんのケースでは、固形腫瘍はすべて取り除かれ、AFPは正常値範囲で、1-2ミリの結節が2つ見つかっている。あと、肝臓から静脈に乗って血液中にいくらか癌細胞が混入している可能性がある。
前提2:一般的に、1立方センチメートルの腫瘍は、10億個の癌細胞からなると言われている。
前提3:血液を循環している癌細胞の数の関して、循環がん細胞(CTC)という検査があり、末梢血液7.5CC中に癌細胞が5個以上は、5個以下と比較して予後が悪いとあり、7.5CC中に一桁数程度あると可能性がある。真ん中とって5個/7.5CCとする。
前提4:小児の血液量は約1リットルで、大人の1/5程度。
結果は...?
詳細は
『6/18 肝芽腫では初めて? ANK点滴 1回目&2回目』
『6/21 ANK点滴 3回目』
『6/25 NK細胞対がん細胞の勝算(仮説) & ANK点滴 4回目』
『7/2 ANK点滴 5回目&6回目』
ANK細胞による免疫細胞療法の設計者との面談
ANK療法を設計、開発した先生とミーティングを行った。
がん細胞、免疫細胞の特性や、化学療法の有効活用の仕方等が聞けて、非常に有意義だった。
詳細は、『ANK細胞による免疫細胞療法の設計者との面談』
抗グリピカン3抗体(GC33)とグリピカン3ペプチドワクチン(GPC3)
この頃、グリピカン3(GPC3)という、もう一つの免疫細胞療法を打診していた。
グリピカン3とは、細胞の表面にあらわれるタンパク質の一種で、これを目印として、がん細胞を攻撃しようといろいろな試みがなされている。
グリピカン3ペプチドワクチン療法は、国立がん研究センター東病院(当時)の中面先生が中心となって、研究が進められている療法だ。この療法の治験があり、これに打診をしていた。
また、同じグリピカン3という目印を狙うのに、別の抗体の免疫システムを使った抗グリピカン3抗体(GC33)というものも、第一三共で開発中で、当時フェーズ2の治験中であった。
第一三共にも個人的にコンタクトをとったが、当時治験の募集は既に終わっていたこと、小児は条件を満たさないこと、から丁重に断りの申し出があった。
『抗グリピカン3抗体(GC33)とグリピカン3ペプチドワクチン(GPC3)』より。
免疫細胞療法の効果について
ネット上で宣伝されている免疫細胞療法は、大きく、獲得免疫の効果を期待したものと、自然免疫の効果を期待したものとに分かれる。
それぞれの陣営は、お互いに相手の欠点を指摘しあっているが、客観的にどちらの言い分が合理的なのだろうか?分子標的薬を絡めて、比較してみた。
『8/26 免疫細胞療法の効果は?』
某クリニックの院長の男気を感じる小児へのANK療法
特定の団体、施設に肩入れは宣伝のようでしたくないが、あの時、『治験結果のはっきりしない療法で、小児に何かあれば、(承諾書等を取り)法的に問題がなくとも、社会的制裁は免れないだろう。』と言いながらも、受け入れた院長の男気には、感謝である。
みためはごついけど。詳細は、『某クリニックの院長の男気を感じる小児へのANK療法』を参照ください。
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ANK療法の実績も着実に増えてました。『リンパ球バンク社の実績を久しぶりに更新』より。