食品添加物の役割とメリットは?
食品添加物とは?
成長期の子供にどこまで食品添加物を摂取させても問題ないかというのは、利便性と天秤にかけた時にむつかしい問題ですが、実証されている検査でどこまでが問題ないか迫ってみましょう。。
食品添加物の分類
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食品の製造過程、あるいは製品自身に特定の目的の為に加える物のことを指します。役割としては、主に次の4つです。
また、食品衛生法上は、次の4つに分類されています。
※天然添加物は、食の経験上無害と扱われていますが、欧州では、安全性が検証された化学合成の食品添加物は、検証されていない天然添加物より安全と考えます。
※既存の食材についても、毒性がないとは言い切れません。食中毒等の一般毒性は、経験則上わかりますが、発がん性等の特殊毒性は、検査されていないだけです。
食品添加物の歴史
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食品添加物の歴史自体は古く、古代エジプト、ローマで、既に肉の保存に岩塩(亜硝酸塩)が使われていたと伝わっています。また、中国では、古代豆腐を作るための「にがり」が使用されていました。
日本においては、狩猟時代において、獣肉に対する香気野菜、奈良時代から平安時代には、魚介、穀物、豆類の為に、薬味、甘味、色素、豆腐、こんにゃく等に天然の添加物が使われていました。
合成食品添加物の始まりは、1851年に酢酸とアルコールを原料に、果実香料を目的とした食品添加物(酢酸エチルエステル)が発表されていました。
1859年には、ベーキングパウダー(膨張剤)の開発で、クッキーやケーキの生産の工業化が始まりました。1856年にタール色素、1879年にサッカリン(甘味料)の合成等、合成食品添加物は1800年代後半から、徐々に開発されました。
国内では、戦後1947年に食品衛生法が制定され、使用してもいい60種の食品添加物が決められました。アメリカにおいては、これより早い1906年に、食品添加物の規制に関する法律ができました。
現在の食品衛生法上の分類は、1995年に定められ、その時に許可されていた既存添加物(後述)は489種類でした。が、その後、危険性の問題、使用実績がない等の理由で365種類にまで減少しています。
食品添加物の用途
用途別では以下のような18種類に分類されています。上位8種類は、物質名とその用途名の表記が必要となっています。
種類 | 用途 | |
---|---|---|
1 | 甘味料 | 食品に甘味を与えるもの |
2 | 着色料 | 食品を着色するもの |
3 | 保存料 | かびや細菌などの発育を抑制し、食品の保存性を高めるもの |
4 | 増粘剤、安定剤、ゲル化剤又は糊料 | 食品になめらかな感じや粘り気を与えるもの |
5 | 酸化防止剤 | 脂などの酸化を防ぐもの |
6 | 発色剤 | 肉類の鮮紅色を保持するもの |
7 | 漂白剤 | 食品を漂白するもの |
8 | 防かび剤又は防ばい剤 | かんきつ類のかび防止に使用するもの |
9 | 乳化剤 | 水と油のように混じり合わないものが混ざるようにするもの |
10 | 膨脹剤 | ケーキなどに用いるふくらし粉 |
11 | 調味料 | 食品にうま味を与えるもの |
12 | 酸味料 | 食品に酸味を与えるもの |
13 | 苦味料 | 食品に苦味をつけたり、増強するもの |
14 | 光沢剤 | 食品の保護や表面に光沢を与えるもの |
15 | ガムベース | チューインガムの基材に使用するもの |
16 | 栄養強化剤 | 栄養成分の強化のために使用されるもの |
17 | 製造用剤等 | 加工食品の製造工程で使用されるもの |
18 | 香料 | 食品に香りをつけるもの |
食品添加物の市場規模と推移
- 食品添加物市場は、約1兆円、出荷数量は約340万トンで、市場は少子高齢化の影響で、近年横ばい傾向です。食品添加物の中で、用途の多い順に、甘味料、調味料、食品香料、品質改善剤で、この4用途で全体の75%を占めています。
- 製品別では、ハム類等は、それほど増えておらず、大きく増えているのは、ドレッシング、フライ類、レトルト食品、特にレトルト食品は、継続的に増加傾向にあり、これらで全体の約4割の使用量を占めます。
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食品添加物のメリット
メリット
先の食品添加物の18の用途をまとめると、以下のようなメリットがあります。
- 特定のものの製造工程で必要不可欠です。
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- 殺菌・保存期間を延ばします。
ソルビン酸を使用時の細菌の増加ペース![]() |
- 保存料により、賞味期限が伸び、大量に生産により、安価に食材を提供できるようになります。
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- 甘味料、調味料、着色料を使用することで、食感を改善させ、満足感を向上させます。
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- 栄養成分の強化のために使用される、栄養強化剤とも呼ばれます。
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添加物の使用をやめると?
- 第一に、食中毒のリスクを高めます。戦後、一貫して、食中毒は減り続けましたが、これは、品質管理の向上ともに、食品添加物の発展があったからです。
そして、いまだに、化学物質等よりも、細菌、ウィルスによる食中毒が圧倒的に多いという事実があります。 - 代替品が見つからなければ、製造できないものが、出てきます。
- 殺菌・保存の技術がなければ、大量に均一の品質のものを作ることがむつかしくなり、コンビニエンスストアの棚に毎日同じものが欠品なくならぶことはなくなるしょう。
- また、甘味料、調味料、着色料等の使用を抑えると、見た目や食感等が落ちます。
- 更には、加工食品の流通が難しくなり、現在の利便性のある程度が失われるでしょう。
- 最も重要な事として、大量生産、大量保存が難しくなり、製品価格が大幅に上昇してもおかしくない状況になるでしょう。
我々は、冷静に、メリットとデメリットを検証する必要があるでしょう。
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